二次救急医療の現場で自殺未遂者支援拡充を – 精神神経学会が提言発表
[2017/01/30 14:00]
日本精神神経学会は、自殺対策についての提言を発表した。リストカットなどの身体的な症状で、救命救急センターに搬送するほど重症化しているわけではない患者を受け入れる二次救急医療の現場では、精神科医療に基づくケアがほとんど行われないため、「自殺未遂者支援の拡充が必要」と指摘。厚生労働省の検討会で議論している自殺総合対策大綱の改正案に、二次救急医療機関での未遂者支援に関する研究や調査を行う方向性を明記するよう求めている。【新井哉】
救急医療の現場では、自殺未遂者が搬送されるケースが少なくない。薬物の大量服薬などの重症患者が運び込まれる救命救急センターなどの三次救急医療機関では、精神疾患を持った未遂者への精神医療に基づくケアが行われつつあるが、二次救急の医療機関では、身体的な症状の改善後は、ケアをほとんど行わずに退院させてしまうのが実情だ。退院した患者の中には、再度自殺を図るケースもあるため、ケアの拡充を図ることが喫緊の課題となっている。三次救急医療の現場では、救命救急センターを対象に行われた、自殺未遂者の支援に関する研究で得られたエビデンスに基づき、未遂者をケアする精神科医や精神保健福祉士を配置する動きが出ている。その一方、未遂者が運び込まれることの多い二次救急医療機関について、同学会は「ケアの方略についてはエビデンスが得られていない」としている。
こうした状況を踏まえ、提言では、二次救急医療の現場での未遂者支援の拡充につながる施策を視野に入れた研究や調査、事業を行う必要性を提示。二次救急医療機関での支援拡充は、検討会の論点案で示された「関連施策の有機的な連携を図り、総合的な自殺対策を推進」や「地域レベルの実践的な取り組みのさらなる推進」の項目に該当するとし、大綱の改正案に反映させるよう求めている。
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http://www.cabrain.net/mb/news/articleNews/newsId/50465.html
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