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要求の多い上司の「取扱説明書」 – WSJ

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要求の多い上司の「取扱説明書」

相手に合わせ過ぎるのも、無視するのも間違い 鍵は交渉にあり

要求の多過ぎる上司にどう対処すべきかENLARGE

要求の多過ぎる上司にどう対処すべきか ILLUSTRATION:ZOHAR LAZAR

 上司に次から次へとプロジェクトを任され、到底守ることのできない締め切り日を設定される。さらには休日や深夜でも、電話やメールに応答するのは当たり前。こんなどうしようもない状況に陥ったことはないだろうか。

 その場合、文句が多い部下だと思われることを覚悟して上司からの指示を拒否するべきなのか。それとも黙って仕事を引き受けて、自分のプライベートや平穏な日々を諦めるべきなのか。

 対応を間違えることで状況がさらに悪化する場合もあると、ハーバード法科大学院のシーラ・ヒーン教授は注意を促す。ヒーン教授は、同大学で20年にわたって行われた交渉術の研究をまとめたベストセラー「話す技術・聞く技術―交渉で最高の成果を引き出す『3つの会話』(原題:Difficult Conversations)」の共著者だ。同氏によれば、理不尽な要求を受け入れることで上司は勘違いをし、その後も同様の仕事を任せられると結論付けてしまうこともある。

 また、不可能だと思いつつも締め切りが月曜日の仕事を引き受けて、それを火曜日に仕上げるような行動を取るのも逆効果だ。そのようなことをすれば、以後はもっと早い締め切りが設定されて提出が間に合うようにさせられるかもしれない、とヒーン教授は話す。押し寄せる上司からのメールや電話を避け続けるのも、さらにしつこく追われることになる危険性がある。

月曜日が締め切りだが到底間に合わない場合、どんな行動がベストかENLARGE

月曜日が締め切りだが到底間に合わない場合、どんな行動がベストか ILLUSTRATION: ZOHAR LAZAR

 こういった状況で一番の対応は、問題の解決策を上司と話し合えるような環境を作ることだ。バージニア州でコンサルティング会社オデッセイを共同で立ち上げたティム・アラード氏は、上司の焦りを受け止めてそのまま反映させることがコツだと説明する。仕事に対する意欲が強い上司は、社員からの反応がなかったり、緩慢な態度が見られたりすると、より一層の緊急性を前面に押し出すようになるとアラード氏は言う。

 「だからといって上司のように荒れ狂って変人になる必要はない。しかし全てのことに意欲的に取り組みたいと考えている上司が存在することは受け止めて、相手にはしっかりと自分が事情を理解していると伝えることが重要だ」と同氏は指摘する。

 要求が多い上司が部下に良い影響を与えることもある。そうした人物はキャリアも上昇気流に乗っている場合が多く、面白い仕事が自然と集まる傾向にあるからだ。その結果、上司本人だけでなく、周囲にいる社員のキャリアも前進する機会に恵まれることになる。

 しかし中には単に心配性か、整理整頓ができていないか、問題が発生するのを恐れすぎていて、部下がどんな業務をこなしているかを把握できていない上司も存在する。いずれにせよ、部下としては自分が取りかかっている仕事内容を常に説明できる状態にし、完了するまでにどれぐらいの時間がかかるかも示せるようにしておくべきだろう。

要求が多い上司には面白い仕事が集まるなどプラスの面があることもENLARGE

要求が多い上司には面白い仕事が集まるなどプラスの面があることも ILLUSTRATION: ZOHAR LAZAR

 もし上司から次々と仕事を任せられるようだったら、優先順位を付ける手助けをしてもらうというやり方もある。どのプロジェクトを中断して、何から始めればいいのかを聞けばいいとニュージャージー州で職場環境コンサルタントを務めるカリ・ウィリアムズ・ヨースト氏は話す。

 コロンビア大学で交渉術や問題解決論などを教えるベス・フィッシャーヨシダ氏は、与えられた仕事を調整するのもひとつの手だと説明する。これは締め切りが迫るプロジェクトの一部のみをまず時間通りに完了させて、残りは後日終わらせることに同意させるなどの手法が含まれる。仕事の一部を同僚に回すことを考えてみるのもいい。

 制限なくプライベートな時間に踏み込んでくるような上司の場合は、一定の境界線を引く交渉をするのも手だろう。フロリダ州で経営コンサルタント業を営むエイミー・クーパー・ハキム氏は、ある顧客がそのような問題を抱えていたと話す。経理マネジャーを務めるその人物は、連日上司から送られてくる連絡に対し、毎晩9時に確認して返答するルールを設定して解決したという。

 このような交渉をする場合、プライベートを分けることが自分の仕事にとってどれだけ大切かを説明すればいい。「生産的に仕事をするために、仕事場にいない時はその他のやるべきことをしっかりとこなしたい」などといった説明が有効だとハキム氏は言う。同氏は押しの強い上司との付き合い方について解説した「Working with Difficult People」の共著者でもある。

頻繁に休日や深夜の電話やメールに応答するよう求められた場合、返信の時間を設定してしまうのも一案ENLARGE

頻繁に休日や深夜の電話やメールに応答するよう求められた場合、返信の時間を設定してしまうのも一案PHOTO: ZOHAR LAZAR

 キャリア指導を行うシックスフィギュアスタート社の共同創設者コニー・サナソウリス氏は、前の職場の上司に夏の間だけでも土曜日に出勤するよう指示を受けたことがあった。サナソウリスさんはその指示をやんわりと断り、「結婚式や家族とのバーベキューなど、さまざまな予定が常に入っている」と伝えたという。

 しかしその代わりに平日は12時間勤務をすることで上司を説得したそうだ。「無理をすることも時には大切。仕事に熱心な上司が面白い仕事をしていたら、その後を追うことでさまざまな知識を得ることができる」とサナソウリスさんは話す。

多すぎる休日出勤の要求への対処法とはENLARGE

多すぎる休日出勤の要求への対処法とは ILLUSTRATION:ZOHAR LAZAR

 マサチューセッツ州ヤーマスに住むクリスティン・ストーンさんは、以前働いていた金融サービス業の職場でさまざまな要求をしてくる上司にストレスを感じるようになり、プレッシャーを感じるたびに深呼吸をして気持ちを落ち着かせていたという。

 しかしストーンさんはそれでも要求に従って仕事をした。なぜならばその上司がストーンさんに敬意を払い、彼女の仕事ぶりを評価し、一回り成長させてくれると感じたからだ。「職務評価が上がり自分のスキルも強化できれば、失う物はない。全てが収穫だ」とLifeLearningToday.comでキャリア形成や自己改善のテーマについて執筆しているストーンさんは話す。

 上司はやがて彼女を昇格させ、数年にわたってキャリアの形成を手助けしてくれたという。そのストーンさんは今、新たな職場で落ち着いた上司の下で働いている。

引用元

http://m.jp.wsj.com/articles/SB10504433381807684657504582566092806701390?mobile=y

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